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【映画『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48』】レビュー

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『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48
2016年1月/監督:指原莉乃 
(※本編のみ視聴しました。)

■ドキュメンタリー映画における演出、手法について。
まず、監督が指原莉乃さんな訳ですが、(私は拝見していませんが)コンサートの演出などで指原さんはファン目線の演出などにより高い評価を得ていると聞いていました。その姿勢が今回の映画にも出ていると感じました。
映画における演出でしばしばみられるのが「せりふで説明している」という批判です。映画で状況の説明や心境などをせりふで言ってしまうと、とたんにリアリティを無くします。それと逆に、役者の表情のみや構図、風景などで表現する事が素晴らしいとされています。
ただ、今回のような映画ではそれは違うと思います。中途半端な映画監督に撮らせるとプライドや自己満足で不親切な作りになってしまいますが、指原監督は違いました。
指原監督のターゲットは「AKBグループファン」であると感じました。そこに絞り、その観客の人たちに対してのサービス精神が感じられました。

■指原監督の演出手法
まず、テロップです。今回、登場するメンバーについては随時テロップが出ていました。それもTV番組で観るような見やすいテロップ「チーム名」まで。私のような「HKTファンでない者」でも1期生くらいは顔と名前がわかります。にも関わらず、きっちりとテロップを出していたのは、他のグループのファンなどに対する配慮だと思います。
次にナレーションです。これも指原監督がやっているのですが、通常のナレーションと違い、オーディオコメンタリー方式になっています。特典映像などにある、実際に映像を観ながらコメントするものです。これも、しゃれたコメントをするよりもわかりやすい作りだと思いました。

■5人解雇事件
最大の注目は2012年に起こったメンバーの「5人解雇事件」をどのように扱うかです。
これは当時HKT48のメンバーだった江藤彩也香さん、古森結衣さん、菅本裕子さん、谷口愛理さん、仲西彩佳さんの5人が「一身上の都合」により、活動辞退したという事件です。
ここの対処が見事としか言わざるを得ません。
ここでは指原監督がスタッフとこの問題について話している部分が出てきます。
そこで指原監督は「この事を知らないファンが多い」という理由で扱わない、という演出にしました。つまり、過去の映像を出したり改めて追及はしないが、コメントすることにより「スルーはしなかった」という事です。
私はこの事件の時に菅本さんのファンだったもので、とても衝撃的だったので是非真相を知りたいという考えなのですが、さすがに今さら感はありました。今では「今この件を追求すべきか?」という考えになりつつあります。辞めてしまった方のことですし…。ですので今回のこの演出は見事だと思います。
(※でも、村重さん…)

■ファン目線
ターゲット層については指原監督は映画の中で語っています。
指原監督が武井壮さんに会ってネタ的な話をする一幕。この映像を観ながらスタッフを「ここを使うべきか?」という話になり、「いろいろな人に観て貰う為に」「真面目な映画だからな…」「昔からの熱心なファンもいるけど」などと悩みながら「ブリッジ的に」という事で使う、という結論に至るまでが映し出されます。指原監督は「AKBグループファンの一般の人」もターゲットに含めていたようです。
(※でも、たいして面白くは…)

■ドキュメントとは
この映画の主役はHKT48全メンバーです。ですがクローズアップされたのは上野遥さんというメンバーでしょう。最初が上野さんで始まり、最後が上野さんで終わる訳ですから明らかです。
この上野遥さんは非選抜で劇場をメインに活動していて、指原さんのポジションを覚えて指原さんに教えるという役割を担っています。
映画のラストで上野さんが映画のエンディング曲の選抜とそのセンターに選ばれる様子が映し出されますが、そのような地道に頑張っている人にスポットを当てるというのは個人的には好きです。そして、無理に感動的な演出にしなかったのは非常に良い演出だと言えますし、ドキュメントとして正しい作りです。
(※AKB48の映画とは違う…)

■選抜会議
最大の注目は「HKT48の選抜メンバーを選ぶ会議」でしょう。秋元康さんや尾崎支配人、その他運営の方々がHKT48のシングル選抜のメンバーを選んでいる様子がわずかですがありました。その直後、その様子を映像で観た指原監督のコメントがあります。「初めて見た」「リアルすぎるけどファンだったら気になる」まさしくその通りで、私は最初から最後まで観たいくらいです。会議のDVD-BOXがあれば絶対買いたいです。
その後指原監督は尾崎支配人にこの件についてインタビューします。内容はずばり「選抜メンバー選考の基準」について。指原監督が「秋元康さんが『田中菜津美』という名前を出したのに尾崎支配人とレコード会社の方がスルーしていた」件に聞いていましたが、ここでも尾崎支配人が田中菜津美さんについてうやむやにしていたのが印象的でした。
ただ尾崎支配人は、タイトルになっている「紅白落選発表の時の涙」など、良い支配人であるという演出がありました。私も詳しくはありませんが、優れた方だと思います。
それとは対照的に、前支配人の佐藤さんへのインタビューがありました。メンバーが当時を振り返っての不評だとか、本人の反省のコメントなど、かなり厳しい演出になっていました。
選抜の理由について全メンバーに説明していた点も注目です。「握手人気、SNS、劇場での貢献度…」推測できる理由ではありますが、それを運営がはっきりと言っている点が重要なのです。

■エンディング
様々な事があって、ラストは上野さんが映画のエンディング曲センターになり、レコーディンが始まるという風景があり、そのままエンディングテーマとエンドロールが始まります。まさしく「エンディングテーマも本編だ」という演出です。ドキュメント映画だからこそできる演出で、思えば過去のAKBグループのドキュメンタリー映画ではやっていない演出でした。もしかしたらファンの方の中には思っていた方もいらしたと思いますが、私は素直に感動しました。