【評価】★★★★★★ 5点
この映画、「サッカー」とついているだけあって、サッカー好きな人におすすめの映画と思いきや、「サッカーに興味がない人」におすすめの映画です。
---------------------------------
【おおまかなあらすじ】 雑用係におちぶれた元サッカー選手が、少林拳使いの少年と出会い、少林拳使いを集めてサッカーチームを結成。大会に出場し、最後は科学的に肉体改造した強敵と戦う。
---------------------------------
とまあこんな感じです。非常にマンガ的な少林拳をどんどんくり出し、もはやサッカーになっていません。ですから、「サッカーに興味がない人」向けなのです。 何も考えず楽しめる娯楽映画だと思います。
しかし、「サッカーファン」という立場から見ると、評価が変わります。 この監督はサッカーを全然知らないと思います。 実際のサッカーには、CGや過度の演出がなくても十分驚異的なプレイがあるのです。 有名ものですぐに思いつくプレイだけでも、ペレのバイシクルシュート、マラドーナの5人抜きや様々なプレイ、98年W杯でのベルカンプのトラップ、2002年チャンピオンズリーグでのシダンのボレーシュート、トヨタ杯でのプラティニのボレーシュート、最近ではメッシやC・ロナウドのドリブル、ロナウジーニョのトリッキーなプレイなど、山ほどあります。そしてそれは、“実際のプレイ”であり、迫力が違います。 そしてその背景としても、場合によっては国の誇りがかかっているような状況での真剣勝負となり、その緊張感はものすごいものがあります。 このように。常日頃からサッカーを観ている人間は、こんな映画を見なくても、よっぽどすごいプレイを見ることができます。
たしかに、サッカーを知らない人が観たら、これらのプレイは分かりにくい部分もあるかも知れませんし、観る気がしないのかもしれません。 そういう人向けに、エンターテイメント性を高めたサッカー映画を作りたいとするならば、日本の漫画「キャプテン翼」の実写版を作ればいいと思います。 サッカーの技でありながら、観て面白い、とんでもない技も出てきますし、何より世界的に有名な漫画です。(ヨーロッパのトッププレイヤーには、「キャプテン翼」を観て育った選手が大勢います)「キャプテン翼」の実写版なら、少林サッカーよりもっと面白いですし、ヒットすると思います。
結局少林サッカーの監督は、少林サッカーの主人公の目的と同じく、「サッカーを利用して少林拳を広めたかった」のではないでしょうか。